「今日ほど散歩にうってつけの日はない」と直感したのは15時ごろで、僕が家を出発したのも15時ごろだった。北へ向かうことにした。
10時まで品出しのアルバイトをして、夜までの果てしない時間を持て余してしまう夏休みもそろそろ終わる。春学期と変わらずほとんどの授業がオンラインとはいえ、講義が始まるにあたってエンジンを温めておく必要がある。しかし今日散歩したのは、授業が始まるからだとか生活にハリを与えたいからだとかそんな理由ではなく、散歩をしなければならないという一種の義務感に襲われたからだ。それはたぶん天気が良かったからだと思う。それ以外に要因が思いつかない。
ベランダに干していた布団を取り込み、外へ行く準備をした。これは余談になるのだけれど、今朝まではタオルケットをかけて寝ていた。今晩から羽毛布団に切り替える。さみーから。ユニクロUのロングスリーブのTシャツと洗濯しすぎて赤っぽく変色してしまった黒のグラミチのショーツを身に纏って外へ繰り出した。長袖×短パンというちぐはぐな組み合わせを楽しめるのも今のうちだけ。
上ル
京都市の住所は「上ル」「下ル」といった特徴的な表記がされる。この表示でより細かな情報が分かるそうなのだが、こちらへ越してきて半年ほどしか経っていない僕にとってはちんぷんかんぷんである。少なくとも、北へ向かうことを「上ル」、南へ向かうことを「下ル」を呼ぶそうだ。地形も北へ向かって坂になっているので、感覚的にも分かりやすい。
京都はなだらかな坂の街である。自転車で南から北へと上がると、からだでそれが実感できる。北行きを「上がる」といい、南行きを「下がる」というのも、自転車に乗ってはじめて実感できる。
鷲田清一『京都の平熱』
最近はオモコロの音声コンテンツの『かまってみくのしん』をよく聞いていて、今日も出発前にダウンロードして聞きながら散歩した。いつもは家でげらげら笑いながら聞いているのが仇となり、散歩中も数度声を出して笑ってしまった。幸いにも近くに人がいなかった。
ちなみに一番面白かったのは「拝聴龍 リスニング・ドラゴン」というラジオネームだった。
人間でいうところの耳に当たる位置に腕があるのってどんな気分なんだろう。
指が4本しかないのって不便だろうか。
まだ京都にわかなので「京都」という文字を見つけると写真を撮りたくなってしまう。
サイゼリヤって安すぎて頭おかしい。
高校生の頃、恋人と県外へ遊んできた帰りに岐阜駅のサイゼリヤで食事をした思い出がある。ミラノ風ドリアとかスパゲッティとかピザとか食べても1000円くらいしかしないもんな。
今はもっと金欠なのでサイゼリヤすら行きにくい。己の金銭感覚が変化しているのを目の前で感じているのだ。またお金を貯めてから食べに行きたいなサイゼリヤ。
下ル
数キロ歩いてさすがに疲れたので回れ右をして来た道を引き返した。ちょうど『かまみく』も終わる頃だったので、帰り道はSpotifyで音楽を聴きながら帰った。
このあいだ恋人と長電話しているときに3大キャリアは契約しないほうがいいぜって話を聞いてもらった。彼女にとってはかなりどうでもいい内容だろうに、僕の極端な意見をうんうんと聞いてくれて本当に優しい。
店内を見ると2グループくらいがカモにされていた。
まだ京都にわかなので「京都」という文字を見つけると写真を撮りたくなってしまう。
横断するわけではないけど入ってみたくなるよね。地下横断歩道。
平成初期の仮面ライダーの怪人、こんなところに出がち。
フェンスを境にして「こちら側」にある研究所と「あちら側」から帰ってこれなくなった僕。もう二度と帰ることはできない。
だれか「こちら側」へ帰してください。
このブログでSOSを発信しています。
助けてください。
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散歩をすることでこの世界の真実に辿り着く恐れがある。
今日がその日だったのだ。
だから「今日ほど散歩にうってつけの日はない」と直感したのだ。
アルバイト募集


アルバイト募集の張り紙を集めているのだけれど、たまに「やってんなぁ!!!」って張り紙を見つける。
「女子学生の方お待ちしています」「元気で明るい1・2回生の女の子、待ってます!」だってよ。店主の気持ちはよく分かる。よく分かるけども……。
やってんなぁ!!!
散歩のおとも