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夢は夢のままで

映画「バーニング」について

2017年、つまり一昨年の冬に村上春樹の「蛍・納屋を焼く・その他の短編」を読んだ僕には戦慄が走っていた。なぜなら、その中に収録されていた「納屋を焼く」という作品が非常に怖かったためである。高校一年生のうちに村上の小説をそれなりに読んだが、「納屋を焼く」がダントツで恐怖を感じる作品であった。当時読んだ時に、彼はこんな作品も書くのだと驚いたことを覚えている。

 

昨年、その「納屋を焼く」が韓国の監督によって長編映画化されたという情報を(確かツイッタ―で)耳にした。是非とも観たいと思ったのだが、如何せん僕の住む町では上映されるはずもなく、ゲオに並ぶはずもなく。

 

ところがどっこい、2019年の11月末に駅の近くで上映されると告知したポスターを体育館で発見した。バスケット部の練習で利用している、市の管理下にある体育館だ。確か今年の春ごろだった気がする。

 

ということで、本日、映画「バーニング」を観てきたので感想を書き記しておこうと思う。以下ネタバレが含まれるので、あれな人はブラウザバックしてください。

 

 

 

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ポスターの近くで配布されていたパンフレット。半年以上の間ずっと通学用のバックパックの中で眠っていた。

 

 

 

 

 

 

「バーニング」の感想

まず、独自に解釈されたエンディングが良かった。原作では「納屋」を明らかにしないまま、彼女の失踪と主人公の語りで幕を閉じる。しかし、この作品では「納屋(ビニールハウス)」を女性と断言し、主人公の復讐までを描いている。おそらくそれが正しい解釈なのだろうが、ここまで明確に表現されていると、原作とはまた違う趣が出てとても良かった。燃え盛る炎の赤色の映えるラストシーンが印象に残っている。そして骨の髄まで響くベースの音。主人公は彼を燃やしたことによって、「ベース」を感じてしまったのだろうか。もしそうなのだとしたら…。

 

続いて、彼女の女性としての描かれ方が村上春樹チックで素敵だった。自由奔放なところや何か抱えていそうなところなど。魅力的な女性像である。えっちい。

 

主人公が彼女とのセックスを高台(?)を見ながら思い出して、マスターベーションをする場面も良かった。人間臭さがでていて。俳優の顔が、演技がとても現実的だった。すげー。

 

あと、突然の母の登場は何だったのだろうか。主人公の幼少期に家を出ていった母はずいぶんと身なりが良かった。そして「借金をした」と16年来の息子にお金をせびる。献身的な息子の態度に同情してしまった。

 

顕著に表れていたのは、主人公と彼(ベン)の経済格差だ。暮らしぶりや服装だけでなく、スクリーンに映し出される彩度などで表現されていた。これも原作ではあまりフォーカスされていなかったが、現代の社会への問題提起として取り上げられていたのだろう。沢山の映画祭で賞を受賞したのはこのあたりにも理由があるような気がする。

お世辞にも裕福とは言えない主人公の服装がとてもかっこよかった。お洒落ではなかったが、格好良かった。あんな服装でも様になるのは顔が良いからかな。身体が良いからかな。型にハマっているのだろう。

 

 

 

要するに、めちゃめちゃ面白かった

 

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会場の前に作品のポスターが掲示されていたので撮影をしたがブレまくっていた。帰宅後に手ブレが発覚したので時すでに遅し。さだまさし



 

螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)

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